2009年08月21日 12:57
アーサナとは身体の「姿勢、体位」を意味します。ですから、アーサナはけっして運動としてではなく、姿勢としてとらえ、行わなければなりません。さらに、アーサナの生理的効果は、運動の生理学である運動学の原理にもとづくのではなく、姿勢の特徴である静的緊張反射の原理にもとづいて考えなければなりません。
動くことが根深い習慣になっている私たちは、身体訓練とは激しい活動や運動でなければならないと思い込んでおり、アーサナについてもそうした観点から考えがちです。(略)安定した姿勢とは<神経―筋肉>の活動の停止を意味するのではない、ということは理解しておく必要があります。
坐り方は、安定した快適
なものでなければならない。(2-46)
安定した快適な坐り方をするには、緊張をゆるめ、
心を無辺なものに合一させなければならない。(2-47)
そのとき、行者はもはや対立する状況に
悩まされることはない。(2-48)
パタンジャリは、緊張のリズムの阻害である「身体の震え」は、二つの相反する神経インパルス、彼の言葉を借りればプラーナのインパルス、の衝突や不調和、相互交流の欠如によるものであると述べています。
アーサナは本来、「身体の震え」すなわち身体のリズムの障害を克服し、心身全体の働きに調和を取り戻させようとするものである。
アーサナはたんなるポーズではなく、ある一定の姿勢パターンであり、系統発生的にも個体発生的にも下位の古い段階に属しているため、それ自体はむしろ奇妙な形であり「異常」に見える場合もある。アーサナの多くには、動物や鳥、は虫類などの名前がついていて、それらの形をまねしている。またその他に、胎児、幼児などの初期の発達段階をあらわすアーサナもある。
アーサナは、統合をつかさどる下位中枢ができるだけ自由に働くようにするために行われる。したがって、効果の点からみると、アーサナの姿勢こそが非場に重要である。アーサナは、下位中枢の働きによって身体に本来の正常なバランスを取り戻させるという目的のために編みだされたものである。
この目的のためには、最小限の努力で、すなわちリラックスして、完成した姿勢を維持することが必要である。これを可能にする最善の方法は、姿勢に心を向けず、何か他のもの、なるべくなら、パタンジャリが指摘するように、無辺なものに思いをむけるようにすることである。もう一つの方法は、「大洋感覚」をもつようにすることである。その当然の結果として、心身がリラックスするばかりでなく、容易に「私」という表面的な人格を超えることができるようになる。(P67)(ヨーガ・セラピーより引用)