2010年03月02日 11:22
第一の波の時代には、人間は自分の生産した物を消費した。今日的な意味では、彼らは生産者でも消費者でもなかった。いわば「生産=消費者」とでもいうべき者であった。(略)さきに第二の波を論じたとき、私は、「自給のための生産」を基礎にした農業社会(生産=消費経済)から「交換のための生産」を基礎とする産業社会へ移行したことを説明した。
(略)
第三の波は、もはやだれの目にも明らかなように、それらすべての多様なレベルで、革命的な、また自己強化を進めるような変化を同時に起こしている。その結果、単に古い社会が分解するのではなく、新しい社会の基礎が創り出されていく。
第二の波の諸制度が、われわれの頭上で砕け散り、犯罪は増え、核家族は崩壊し、かつては確実な拠りどころであった官僚制度は機能を果たさなくなる。医療制度はひびが入り、産業主義経済がぐらつき始めると、われわれは周囲の崩壊と挫折ばかりに目を奪われがちである。だが、社会の衰退は新しい文明を育てる堆肥にほかならない。エネルギー、科学技術、家族構造、文化、その他多くの分野で、われわれは、新しい文明の主要特徴を定める基本構造をつくりつつある。(略)大切なのは、変化の大波がわれわれをどこへ押し流そうとしているかを知ることである。眼前に待ち構える短期的な危険の中で、最悪の事態を何とか避けることができたなら、どのような世界が到来するであろうか・・・・・簡単にいえば、どんな種類の社会が形をなしつつあるか、ということを知ることが大切である。(第三の波P457)