2009年09月01日
プラーナヤーマ
今日よく行われているさまざまな種類の調気法は、ほとんどが意志によってコントロールされた呼吸で構成されており、その意味では「ブリージング・エクササイズ」といえるかもしれません。しかし、ヨーガのプラーナヤーマが西洋諸国で一般に行われているその種のエクササイズと異なっているのは、プラーナヤーマでは深呼吸とその酸素値はあまり重視しないという点です。それよりも、一時的に息を止めるクンバカという状態を発展させることに重点が置かれています。また、「プラーナヤーマ」という語は、「息、生気」を意味する「プラーナ」と、「休止」を意味する「アーヤーマ」から成り立っています。つまりプラーナヤーマとは「息の休止」を意味するのです。
(略)
ハタ・ヨーガでは、これらのプラーナヤーマをバンダとともに実践するように教えています。コントロールされた吸息、すなわち「プーラカ」では、挙筋を収縮し直腸と肛門を引き上げるムーラ・バンダを同時に行い、コントロールされた止息、すなわち「クンバカ」では、顎を胸に押しつけるジャーランダラ・バンダを同時に行います。咽喉部のくぼみのちょうど下に顎を押しつけると、二つの頸動脈洞がしっかりと圧縮されます。同じようにコントロールされた呼息、すなわち「レーチャカ」は、ウディヤーナ・バンダとともに行います。ウディヤーナ・バンダは腹壁、とくにへその下の部分を引っ込め、次に横隔膜を引き上げるようにするもので、これらを毎回行います。以上のことから、プラーナヤーマは酸素や二酸化炭素の濃度の変化ということをあまり重視せず、肺内部の圧力、胸内部の圧力、腹内部の圧力の操作と、その変化した圧力を一定の時間維持することのほうを重視しています。
(略)
プラーナヤーマを行うときに最初に気をつけなければならないのは、骨盤、脊中、首の位置です。これらはすべて「直立」の位置に保たれていなければなりません。そうすることによって骨盤の角度は約三十度に保たれます。骨盤の傾きは骨盤底の緊張と大きく関係しており、そのためにプラーナヤーマを行じるときは、達人坐、蓮華坐、吉祥坐、対称坐などの特別の坐法が定められているのです。これらの坐法では骨盤は必要な角度に保たれ、ムーラ・バンダがしやすくなります。
(略)
パタンジャリは、賢明なプラーナヤーマは私たちを暗闇にとどめる障害を打ち破ることができると述べています。すなわちプラーナヤーマは、自己実現に至るドアを開いてくれるのです。
「プラーナヤーマを行じることによって、心の輝きを覆い隠していた煩悩が消え去る」ヨーガ・スートラ2-52
呼吸を調節する中枢は延髄にありますが、呼吸を停止させる中枢は側頭葉の先端近くに位置しています。たとえば、呼吸の停止をもたらす「ケーヴァラ・クンバカ」もこの中枢を介したものと考えられます。側頭葉の先端には自我意識の中枢もあります。この二つの中枢が近くに存在していることが、ヨーガ行者にとってプラーナヤーマを重要たらしめているのです。彼らによると、呼吸の停止は自我意識の停止をもたらすということになります。自我意識は物事を対立的に二分するすべての「人間の思考や行動」の「種子」と呼ばれ、神経症的な状態の多くはこれに過度に支配されることによって生じるというのです。(ヨーガ・セラピーより引用)
呼吸を停止させる中枢は側頭葉の先端近く
自我意識も側頭葉の先端にはある
というのは興味深いですね。
Posted by katsukino at 16:10│Comments(0)