2011年12月15日

呼吸:死

店の商品棚の上でプラモデルの
飛行機の離着陸を繰り返し、

商品の景品で
レジ打ちをして
お店を開店して

おやつは
白玉団子。

「かしこーならんと」
お父さん、お母さんの
言うことを聞いて
「かしこーならんと」
が口癖だった。

近所のお地蔵さんに
毎日お参りして、
子ども、孫の健康、安全
をお祈りしてくれた
おばあちゃん。

91歳になり
大腿骨が骨折し
一カ月前から入院していた。

5年続いた透析が出来なく
なり、週末できなければ
覚悟してくださいと言われ
見舞いに行った。

朝、病室に入ると
「そら」を仰ぐおばあちゃん。
目を大きく見開き
口を開け

ゼーぜー

生きていた。
骨がむき出しになり
顔には、苦しみが
あふれる。

生きる
ということが
苦しみ
であることを
教えてくれた。

ベットを起こしてくれと
いう。
起こすと、立ち上がろうと
するおばあちゃん。

一か月も入院していて
家に帰りたかった。

腰の骨が疲労して骨折した。
身体を使いつくした。

立ち上がることは出来ないけど
立ち上がる。帰りたいという気持ち
が伝わってきた。

胸につながっているコードを
しっかりした指先で、たぐりよせ
丸めて、着物の中にしまおうとする。

あまりに引っ張りすぎて
コードの先にある計器が倒れそうに
なるので、

倒れちゃうよ。おばあちゃん。
どうするの?と話しているうちに
綺麗でありたい
と身なりを気にしているのだと
分かった。

コードを丸めるのを手伝い
着物の中にしまいこんで
おばあちゃん、
綺麗になったよ。

と手をさすった。
手の甲はカラカラにひあがり
指の爪まで枯れていた。

そうやって、おばあちゃんに
触れていて
恐怖につつまれている。
と分かった。

今はね。おばあちゃん。
息をすいこんで
息をはく
それだけでいいんだよ。
ちょっと楽になったら、
それを鼻でやってみて。

言われるままに口を閉じ
鼻で呼吸を始めた。
胸が膨らみ、腹が縮む。
怖いね~おばあちゃん。
痛いね~おばあちゃん。

だから、呼吸をみようね。
うんうんうん
と聞いてくれて
そのうちに、顔が穏やかになり
息をすうたびに瞼が閉じる。
恐怖が消え、緊張がひいていき
眠りにはいった。

3歳児を眠りにつかせて
そっと部屋を出るように
私は病室を出た。

その日の夕方
おばあちゃんが
亡くなったことを
しった。

呼吸:死

雑貨屋をしていた
おじいちゃんとおばあちゃん。
カンバンには
良い品 安く売る店
とありました。

「かしこーならんと」


タグ :呼吸


Posted by katsukino at 10:13│Comments(2)
この記事へのコメント
おばあちゃんの長い長い人生の終焉に立ち会ったんだね…
ご冥福をお祈りします。
Posted by greenbee at 2011年12月15日 11:53
greenbeeさん
コメントありがとうございます。

私は初孫だったので
よく可愛がってもらいました。

大好きな
おばあちゃんです。

最後に立ち会えたことは
幸せです。
Posted by おきなわヨーガおきなわヨーガ at 2011年12月15日 16:56
 
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